COLUMN
相続した空き家。持ち続ける費用と、売るときの特例の期限
親の家を相続して、住む予定がない。空き家は持っているだけで費用がかかり、売るなら税の特例に期限があります。慌てて決めないために、確かめる順番をまとめました。
空き家は、持っているだけで費用がかかる
総務省の2023年の住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸、住宅に占める割合は13.8%でした。
住む人がいなくても、固定資産税、火災保険、庭木の手入れや修繕、見回りの手間は毎年かかります。遠方の家なら、通うための交通費と時間も加わります。まずは一年でいくらかかっているかを書き出すところから始めます。
放っておくと、固定資産税の軽減が外れることがある
住宅が建っている土地は、固定資産税の「住宅用地の特例」で、課税標準が200㎡以下の部分は6分の1、200㎡を超える部分は3分の1に軽くなっています。
2023年12月13日に施行された改正空家法で、手入れが行き届かず、このままでは倒壊などの危険がある「特定空家等」になるおそれのある家が「管理不全空家等」とされました。市区町村から勧告を受けると、特定空家等と同じく、その土地はこの特例の対象から外れます。
定期的に風を通し、草木を手入れし、壊れた所を直しておくことが、税を抑えることにもつながります。
売るなら、3,000万円特別控除の期限を先に確かめる
相続した家やその敷地を売ったとき、条件を満たせば、売却で得た利益(譲渡所得)から最高3,000万円を差し引ける特例があります。2024年1月1日以後の売却で、家を相続した人が3人以上なら、一人あたり最高2,000万円です。
使えるのは、売った時期が二つの期限の内側にあるときです。一つは、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。もう一つは、特例そのものの期限で、2027年12月31日までの売却が対象です(2026年4月1日現在の法令)。
主な条件は次のとおりです。
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家で、マンションなどの区分所有建物ではない
- 亡くなる直前まで、親などがひとりで住んでいた(老人ホームなどに入っていた場合も、条件を満たせば対象)
- 売却代金が1億円以下
- 家を耐震基準に合うように直すか、取り壊してから売る。2024年1月1日以後の売却は、売った年の翌年2月15日までに耐震改修か取壊しが済めば、売った後に行う場合も対象
- 家がある市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」を受け取り、確定申告をする
土地だけを国に引き渡す制度もある
売るのも貸すのも難しい土地には、2023年に始まった「相続土地国庫帰属制度」があります。相続した土地を、審査を経て国に引き取ってもらう制度です。
建物がある土地は申請できないので、家は先に取り壊します。審査手数料は土地1筆あたり14,000円で、承認されなかった場合も戻りません。承認されると、10年分の管理費にあたる負担金を納めます。基本は1筆20万円で、市街化区域の宅地などは面積に応じて決まります。申請先は、土地のある都道府県の法務局・地方法務局の本局です。
決める前に、家族でそろえておくこと
住む、貸す、売る、手放す。どれを選ぶにしても、次の四つを並べておくと、家族で話し合いやすくなります。
- 登記事項証明書で、いまの名義を確かめる。名義が亡くなった人のままなら、相続登記の期限も確認する
- 固定資産税・保険・修繕・見回りの、一年あたりの費用
- 持ち続けた場合と手放した場合で、10年のあいだに出ていくお金と手元に残るお金
- 売るなら、特例の期限から逆算した日程
相談先
特例が使えるかどうかの判断と確定申告は、税理士の仕事です。フォーワン税理士法人がお受けします。持ち続ける費用と、それぞれの選び方で手元に残るお金を並べる作業は、住まいとお金の相談(FP相談)でお手伝いします。